オウゴンリツ
第一章:歌えぬ鳥


東京に上京して早六年。
私、川野 美幸は今日で25歳になります。


…だけど、それを祝ってくれる人はいない。
そりゃそうだ。歌手になると言って実家を飛び出し、それ以降両親とは音信不通。
自分でオーディションに応募したけれど結果は散々で、スカウトも変なのばっかり。
仕方なくバイトな毎日で、もはやただのフリーター。
東京みたいな都会に、独りぽつんと降り立ってしまった私が頼れる物なんて、一切なかった。

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