君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて



あたしよりもずっと長い足を、めいっぱい使ってずんずん進む目の前の自己中オトコ。


「ちょっ!ちょ、ちょ、ちょっとストップ!」

手を引かれて、振り回され放題だった両足におもいっきり力を込めて、振り向きもしない江口さんを止めた。


「ねぇ、こっち向いてくださいよ!…なに怒ってるんですか?」

「…怒ってないよ」

…じゃあ振り向けってば!


「あっそ!あたし、もう振り回されるの疲れたんで離してください」

あたしは、江口さんの温かい手を、無理やり振り払った。



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