【企・雪集】真っ白な二人
『別れた後、かなりショックでさ、へこんだ。
だけど俺、考えたんだ。それで気付いたんだ。千紗にずっと我慢させてたんだって。
ごめんな、あの時』
「譲…」
譲の言葉にもう、涙が止まらない。
なんでそんなに、一途に想ってくれるの?
なんでそんなに、優しいのよ。
『俺、きっとこれからもずっと千紗の事を好きな気持ちは変わらない。
こんな俺に文句も言わず気遣ってくれてさ、千紗の笑顔はいつも俺に元気をくれてた。そんな千紗がすっげえ好き。
だから、これからまた一緒に過ごしていこう?俺の隣には、やっぱり千紗がいないとだめなんだよね』
譲の目は真剣で。
ああ、あたしはこれを望んでいたのか。
あの頃のあたしは不安だったのかもしれない。
譲に愛されてないんじゃあないかって。
あの頃のあたしは、
彼に、‘ あたし ’ を見て欲しかったんだ。
真っ直ぐ、真剣に。