S・S・S


「キレイ…」

ガラス越しに、満天の星がゆっくりと流れていく。ライブからの帰り道、トウマの運転するスポーツカーは山間の高速道を走り抜ける。

行きの道のりとは全く違う。
同じ車なのに、屋根の幌(ほろ)を被せただけで中はちょっとしたプラネタリウムになった。

行きも帰りも、二人きり。
ちょっと、、いやだいぶ、嬉しい。


「奏さんと明ちゃん、うまく行くといいね。」

「…まぁ、それも全てお前にかかってるんだが。」

ハンドルを握ったまま、トウマが軽く息を吐く。


「ええっ……と、そうだよね。デリバリー企画にかかってるんだもんね。明日…って、もう今日か!年、明けてたんだった。」


そう。

今日は、1月1日。

ライブの打ち上げを抜け出して、、このあと、奏さんは明ちゃんを連れてゲレンデにやって来る。

今日のお昼、烈火さん肝入りの『あなたのハートをデリバリー』企画で、明ちゃんに気持ちを打ち明けるという算段だ。

スタジオDJはトウマ。
レポーターは、わたし。


責任重大だよぉ。
うう、ドキドキ、する。


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