S・S・S


目の前に広がる光景の嬉しさと曲が与えてくれた深い感動に夢中で

あたしは、完全に自分が仕事中であることを忘れていた。



奏さんにマイクを預けたまま、あたしがボーっと(泣きながら)突っ立って拍手しているせいで、放送には妙な空白が生じていた。

フォローするようにトウマが促す。


『…・・じゃぁそろそろ……・・・コーナーを締めてくれるかなあ、サ、ラ、ちゃん。』




…ちゃん?

その静かな怒りを含んだ笑顔の声で、あたしはようやく我に返った。





・・・ ・ ・ 怒って・・る・・?


どわぁぁぁあああ!!しまった!!
完全に仕事ってこと忘れてたぁぁぁーーーー!!


さらに悪いことに、全力で感動していたあたしは涙と鼻水でぐしょぐしょで、焦って出てきた声は、ひどい風邪をひいたバーのオカマちゃんのような声だった。(いやオカマバーに行ったことは無いんだけども)


「ず、ずぼばじぇっ!、、!?djkfsげ:-t@うぇっ!ゲーホゲホゲホっ!!」



激しく咳き込んで、目の前に星が散る。

げっ!マズイマズイマズイよこれっ!!
てゆーか、何しゃべればいいの!?



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