幸せの在りか


「待てよ。俺が先に出る。星崎誠が俺の考えてる奴かどうか、確かめてやる。」

玄関の扉を勢いよく開けた。



誠は自転車にまたがったまま、こちらを向いた。

でもその顔はニット帽を被り、ハイネックのセーターを口元まで伸ばして、黒いサングラスをかけていて、ちょっと見ただけでは誠だとは分からない。

「おい、帰るぞ。中田君だっけ?邪魔したな。」

それだけ言うと先に行きかけた誠を、慌てて追いかけた。

「あ…待ってよ。もう…。ありがとね。それじゃ。」




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