幸せの在りか


あんた、お兄さんにいつも何されてたか聞いたわよ。

その体、私にも見せて欲しいなあ。

何とか…て雑誌に写真でも持ち込めば、スカウトしてもらえるんじゃなあい?」

ニヤッと笑った彼女の顔は、あのおとなしい、儚げな女の子ではない。何とも言えない嫌な笑みを浮かべて近付いてくる。

「今日、また行くって言ってたよ、お兄さん。せめて教えといてあげようと思って。それだけよ。じゃあね。」



背筋が凍りついた。

あの男。私があの家に戻るまで、嫌がらせをするつもりだ。

例え、戻ったところでまたあの悪夢が続くんだ。

…嫌だ。戻りたくない。

でも私がいると誠に迷惑がかかる…。どうすればいい…?

ベンチに座って、膝に肘をつけて頭を抱え込んだ。




< 87 / 167 >

この作品をシェア

pagetop