エガオ
★1


「麻由香っていつも笑顔だよね」

『えぇ
何それ~?』


「いゃ
悪い意味じゃなくてさぁ」


「どんなヤツにも笑顔だよね~」

「そうそう」

「だよねぇ
癒されるんだけど~」

『あはは』



クラスの女子達と笑顔で会話を交わしながら

私、一条 麻由香は思っていた。



そりゃそうよ

ずっと笑顔振りまいて生きてたら
それが習慣にもなるわ。


私にとって


“笑顔でいる”

ということは

息をするのと同じくらい当たり前のことだった。



ガラッ

「皆さん 席について下さいね」


担任が入ってきた。
その後ろには1人の男子生徒。

…転入生かな?


皆も男子生徒が気になるらしく教室がざわめく。


「はい!
静かにしてー

気付いてるように
今日からこのクラスの仲間になる子を紹介したいと思います」

何だか小学生に言ってるみたいで笑える。


「じゃあ どうぞ」

そう言われ、その男子生徒は前に出た。


「高階 亮です

親の都合で転校してきました

よろしく」



拍手が起こった。

女子達は

「かっこよくない!?」

「ヤバい! タイプ~」


なんて言っている。


…確かにかっこいいけど

別に興味ないし。



そう思ってると急に名前を呼ばれた。



「一条さん」


『はい
何ですか?』


丁寧に答える私。



「隣の席になるから
色々と教えてあげてね」


そう言われた。


隣を見ると確かに空いている。



『はい
わかりました』




転入生が席に着いたので


『私は一条 麻由香

よろしくね 高階くん』


とにっこり微笑んだ。



彼は


「―あぁ
よろしく」


そう言って席についた。




一瞬 間があった気がしたけど何だったんだろう…?



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