はじめてのCHU
「俺、美川麗。よろしく。」

これがあなたとの、初めての会話。

ハスキーな声。
綺麗な名前…。

少し返答が遅れた。

「えっ…あ。わ、私は妃りくです。よろしくお願いしますデス。」

いきなりだったから少し声が高ぶった。

「えー何々〜?りくったら〜もう友達になったの〜?ずるいぃ」

「コイツは俺の彼女の神田梨亜。いつもテンションMAXな女で面倒かもだけど、まぁ仲良くしてやってくれ。」

「すみませんねぇ。面倒な女で。」

あーあ。
また始まったよ。夫婦ゲンカ(笑)
この二人は中2の頃から付き合っていて、すごく仲が良い。もちろん今もラブラブ。

「あの神田さん…だっけ。…えっと、とりあえずまぁ、よろしく。」

少し呆れた感じの美川君が、梨亜に話しかけた。

「やだぁ〜神田さんなんてーもう。神田でいいわよ〜。美川君こちらこそよろしくね〜。」

「ねぇ、美川君。美川君は小さい時から野球やってたの?」

すごく使いこなしたグラブを見て私は疑問に思った。

「あぁ。俺、野球大好き人間だから♪甲子園に行くのが夢なんだ。だから絶対甲子園に行く!」

「本当に?!じゃあ頑張って、絶対甲子園に行ってね☆」

「おう。サンキュー。」

たったこれだけの会話でも、何だか私は嬉しかった。


今日の夜。
私は眠れなかった。なぜか胸が無性に高鳴っていたからだ。

美川…麗…
本当に綺麗な名前……

何でだろう…本当に何か…すごく懐かしい感じがするな………

いつの間にか、私は深い眠りに落ちていた。


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