愛しのりんご君。
りんごが二つ。
だって、見間違えるわけがない。
金色の短髪。
左耳には、トレードマークのごついピアス。
「…佐藤くん…」
思わず、声を掛けてしまった。
私の頭の中にはもう、隣にいるりんご君のことなんて入っていなくて。
ただ、佐藤くんしか見えなくて。
佐藤くんがこちらを見る…と、目が見開かれたのがわかった。
「実久……」
−−−あぁ、
この、声は。
間違いなく、佐藤くんだ−−…