とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『まぁ、女に関してはアイツはあっさりしてるからな~』
虎太郎はどちらかと言えば女好きではあったが、特定の誰かに入れ込むようなタイプではなかった。
“来る者は拒まず、去る者も追わず”といった具合で、今まで彼女らしい存在の誰かが居たという話は聞いた事がない。
リサも虎太郎にとっては同じような感じだと本人は言っていたが、右京から見るとそれとはまた違う気がした。
“どこが?”と言われるとうまく言葉に出来ないが…
『今度覗きに行ってやろうぜ!』
『乗った!
どうやって口説き落としたのかしらねーが、1人だけおいしい思いはさせねー!』
楽しそうに悪戯の相談を始めた二人を見て、自分の時もこうだったのだろうと右京は理解したのだった。
大晦日になるとデカい二人は異様にテンションが高かった。
その日は前日の夜中に忍がコッソリ右京の部屋に来ていた為、寝起きは最高に幸せだった。
腕の中の忍を抱きしめると、ちょっと身じろいですり寄って来た。
可愛いなぁ…
愛しい寝顔にキスを落とすと右京も再び眠りに落ちかけた。
が、ノックと同時に開いた部屋の扉に驚いて目を見開いた。
「「…」」
忍とばっちり目が合うと、彼女は「なに!?」と寝ぼけた声を上げた。