とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~



右京と別れてリサの元に戻ると、木の上で小さくなっているリサを見つけた。


…小鳥みたいだな…


風に揺れる長い髪が時々現れる月明かりに照らされて、キラリの光って見える。


虎太郎は素直に“綺麗だ”と思った。


『リサ…』


囁くように声をかけるとリサがゆっくり顔を上げた。


『…遅い…』

『思ったより時間が掛かってね…待ちくたびれた?』


虎太郎は微笑みながら隣に腰を下ろした。


リサは黙って虎太郎に抱き付いた。

虎太郎も黙ってリサの頭を撫でた。


『帰ろ…リサ。』

『ねぇヒューガ…』

『ん?』

『私の事どう思う?』

『急にどうした?』

『私の事好き?』

『好きだよ。』


サラリと言う虎太郎にリサは不満そうな顔をした。


『それって“女”として?』


正直虎太郎にはわからなかった。

リサは可愛いし、嫌いじゃない。
子供のようにすり寄ってくる彼女を抱き締めてやりたいとも思う。

だが、それが“女”としてかと聞かれるとわからなかった。


『それは難問だな…』

『…悩むくらい難しいの?』

『ん…難しい…

俺は多分…リサが男だとしても、きっとこうやって抱き締めてやりたいと思うよ。』


その言葉にリサはちょっと目を見開いた。


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