とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
嬉しいけど…嬉しくないような…
リサは複雑な気持ちになった。
『じゃあ、質問を変える。
私を抱き締めたいと思う?』
『…俺さっきそう言わなかった?』
『“抱き締めてあげたい”と“抱き締めたい”は違うわ…』
虎太郎は『なるほど』と答えて少し考えた。
『“抱きしめたい”と思うよ。』
『…本当?』
『ああ…でも“抱き締めてあげたい”と思う気持ちの方が大きい。
答えになってる?』
リサはそう聞く虎太郎に微笑むと『ええ』と頷いた。
『じゃあ、“キスしたい”と思う?』
『思うよ。』
『今は?』
リサがあまりにも真っ直ぐ見つめるので、虎太郎は少し恥ずかしくなった。
『あの…あんま見つめないでくれる?』
『嫌なの!?』
『嫌じゃないけど…慣れてないんだ…こういうの…』
『ヒューガには欲望はないの!?』
『ない訳じゃないけど…』
煮え切らない虎太郎にリサがイライラしているのが分かった。
『キスしたいならしなさいよ!』
『ええ!?なに、そのキレ方!』
『よくわかったわ、ヒューガ。
あなた子供並みね!』
『ぷ…リサに言われるとは…』
『笑うとこじゃないわよ!ホント、じれったい!』
掴みかかって怒るリサをクスクス笑いながら虎太郎は彼女の顎にそっと手を添えた。