とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




右京は首だけ捻って後ろを振り返った。



『…何か?』


『あ…翼が…』


『え…!?』


『ああ、すみません!一瞬逆光で君に翼があるように見えてしまいました…
ははは…何でもありません。』


『…はは…そんなはずないじゃないですか。』



平静を装ってそう答えたが、心拍数が尋常じゃないくらい上昇しているのがわかる。



なんだコイツ…ただの偶然か?


右京は司祭に背を向けて表情を隠す様に立った。


『…牧師はいつもここに居るんですか?』


『ええ、懺悔に訪れる方が居ますので日中はいつも居ますよ。』


『“懺悔”ですか…』



ある意味自分と同じ役目を担っているのかもしれない。



『…その懺悔によって人は変われると思いますか?』


『ええ。変われます。変われなければ何度でも懺悔すれば良いのです。

神は人を見捨てたりしない』


『…』



そうだな…神がどうかはわからないが、少なくとも俺は見捨てたりしない。



『悩みがあるなら君も一度来て下さい。

いつでも…光の翼を持つあなたを待ってますから…』



そう言って司祭は微笑んだ。



『…気が向いたら…』



右京も微笑みを返して聖堂を後にした。




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