とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~

皇帝ルシファー





右京は寮に戻って自分の部屋の扉を開けた。



アランが居ないところを見るとP2だろうか…



忍がこっちに居る間は一緒に居ようと考えて携帯を耳にあてながら着替えを鞄に詰め込む。



数回呼び出し音が鳴り、虎太郎が出ると右京は部屋に来る様に伝えた。



一通り荷造りが終わってベットに座ったと同時に虎太郎がやって来た。



「やぁ、右京。久しぶりな気がするね~」


「虎太郎、頼みがある。」



右京がいつになく真剣な表情をしたのに気付いて、向かい合うように椅子に座った。



「何かあったんだね…OK、聞くよ。」


「バジリスクが昨日ミカエルからの伝言を持って来た。」


「…は?なんだって?」



虎太郎はすぐにその不自然な事態に気付いて眉を寄せた。



「“ウリエルの負の念で俺の存在に皇帝が気付いた”って伝えに来たんだ。

…どう思う?おかしいだろ?」


「確かに…ガブリエル様はどうした?」


「それも気になる。何か裏があるんじゃないかと思うんだ。」


「判った。聞いて来ればいいんだね?」



右京の言いたい事を理解した虎太郎に右京は口角を少し上げた。


だがすぐに表情を戻すと「それともう一つ」と話を続けた。



「昨日バジリスクが来た時にコカトリスに襲われた。」


「…反応が早いな…確かに昨日の朝のウリエル様の気配は尋常じゃなかった。」


「最近あの姿になると力が制御出来ない…」



その言葉に虎太郎は睨む様に右京を真っ直ぐ見て「それはマズイ事態だね」と呟いた。



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