意地悪な君の彼女は大変
瑚珀のことで身震いしていたあたしの手を琥蘭くんは掴んで、
そのまま、お店に堂々と入って行った。
あたしは、繋がれた手のことで頭がいっぱいだったから、
さっきまで躊躇っていたお店の中だと気づいたのは、手が離れたときだった。
ショーケースに納まっている宝石はどれも綺麗で、
あたしはジーっと何時までも見つめていた。
そのなかに一つ、あたしが気になるものがあった。
それは、琥珀。
彼氏の名前と同じ宝石だった。
琥蘭くんは、あたしに気づいたのか、
「兄さんの“珀”と俺の“琥”は、これから付けられたんです」
琥蘭くんは、嬉しそうな顔をしながら話し始めた。