意地悪な君の彼女は大変
「もうっ!だからだいじょ…ぶっ!!」
―――ああ、ほんとにドジだ…
軽く痛むこめかみを押さえ、首を呆れたように横に振る。
そんな態度をとるも、こいつに近付き、
「大丈夫か?」
って手をさし伸ばす…――――はずだった。
俺がその行動を実行しようとした瞬間、だれかがぶつかってきて少しよろけた。
そのちょっとの隙をついて俺の彼女に近付く男。
いやらしい眼差し、口元がだらしなく下がっているそいつは、明らかに葉月狙いだ。
さっきまで痛かった俺のこめかみは休む間もなく、今度は“虫”如きに青筋を立てることとなった。