SIGHT

バンの中に閉じこもり、暖房をガンガンにつけても尚、涼太はガタガタ震えている。



「扉開けるぞ?」



コンコンと運転席側の窓ガラスを叩くと、涼太は首を二回ほど傾けた。



「よう。えらくガタガタ震えてんじゃねぇか。」



「馬鹿野郎、真冬の川に浸かったら誰だってこうなるわ。」



ポケットからコーヒーを取り出し、涼太に放り投げる。


「ほらよ。どれだけ飲んだら気がすむんだよ。」



「寒いから仕方ねぇだろ、何なら今からお前も川に浸かってくるか?」



「お前みたいに丈夫じゃねぇから死んじまう。」



しかし涼太のおかげで一応収穫があった。それには感謝しなければ。



「なあ、会社帰ったら俺のロッカーからジャージ取ってきてくれ。」


「なんでジャージなんか置いてんだ?」


「用意がいいんだよ俺は。」



ただ寒いから着てただけだろう。



「分かった。そんぐらいはしてやるよ。」


車をもと来た道に走らせる。その頃には路面は殆ど雪に覆われていた。
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