彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
小春ちゃんは
デジカメ画面を食い入るように見ている。


あ…

俺はピンときた。


『小春ちゃん…貸して』

俺はデジカメに手を伸ばす。


ササッ…

小春ちゃんは
慌てデジカメを
背後に隠した。


『や…ッ直樹くん
消すつもりやろ!?』


『いいから見せて』


画像次第では消す…!


俺はジリジリ
小春ちゃんに詰め寄る。


『いやや―ッ』

小春ちゃんは
最後まで抵抗したけど…


俺はデジカメを
手に入れた。


なかなかの攻防戦だったが…


『男の腕力…なめんなよ』

ふふん、

俺が言うと


小春ちゃんは

『ひゃっ…』
と呟いて頬を染めた。



小春ちゃんを放置して
俺はデジカメ画面を見る。


やっぱり…

デジカメには
ベッドに倒れこんだシーンが
ばっちり写っていた。


例えるならば

“小春ちゃんに犯される俺”

って感じ……



こんなの残してたまるか。

消去だ、消去。


―――ピッ


ボタンを操作しかけると

小春ちゃんが
また飛びかかってきた。


『うわッ』


小春ちゃんは
一瞬で俺からデジカメを
奪い去ると

そのまま部屋から
飛び出した。


『こらッ!』


追いかけようとしたが…


お母さ―んッ

と下から声が聞こえた…

小春ちゃんは
リビングに逃げ込んだらしい。


ふぅ…


俺は仕方なく諦めて
自分の部屋に戻った。



またいつか…

こっそり消そう。



布団に横になり
目を閉じる。


さっきの純情っぽい
小春ちゃんを思い出す。



必死に謝った俺が虚しい。


小春ちゃん…

もう十分
破廉恥だと思うよ…



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