彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
―――…


チクタク…

カリカリカリカリ…



シャーペンと秒針の音を
聞きながら


問題集を解く
太一くんの背中を
ぼんやりと眺める。


マキ君の台詞を思い出すと

小さなショックに
胸が少し痛む…。



小春ちゃんは…

俺はてっきり
彼氏がいたことない子かと
思っていた。


漠然と…そんなオーラがした。


それが…

あんなイケメン君と
付き合ってた?


"なかなかやるな~小春ちゃん"


って軽く流すとこだろ。

なんでショック
受けてんだよ…






マキ君と小春ちゃんは

高1の時に
付き合っていたらしい。


『一目惚れやった』そうだ。


でも次第に…

小春ちゃんの言動に
ついていけなくなったらしい。


小春ちゃんは
マキ君よりも光に夢中だった。


毎日美術部で
光の話で友だちと盛り上がる。


そのたびに

マキ君は
それが許せなかった。


『アホらしいけど
本気で光に妬きました。』


…全然アホらしくない。

マキ君の気持ちは
なんとなく分かる。


本気で
好きだったんだと思う。



喧嘩が続いて…

ついにマキ君から
別れを切り出したそうだ。


でも――…

未だに引きずっている。


別れた事を
後悔しているらしい。



そんなとこへ
光に似てるらしい俺が現れた…




俺は返す言葉がなかった。


最後にマキ君は言った。

『好きじゃないなら
冷たくして下さい。
俺は小春とやり直したい。』







俺は…どうなんだろう。


好きかどうか
自分で分からないなんて

初めてだ。


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