彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
『あぁ~成る程…』

しばらくして太一くんは
大きく頷いた。


『直樹くんの説明聞いたら…
毎回すぐに解るねんけどな~。』


そう呟く太一くんに
俺は笑う。


『そんなもんだよ。』


太一くんは俺を見る。


『いや、直樹くんの説明は
ほんまに分かりやすいっすよ。』


『あはは…』


そう真剣に誉められると
照れる。


キシ…


太一くんは
背もたれに寄りかかり、
上を向いて言った。



『ほんまに直樹くんが
ずっといてくれたらエエのになぁ―…』


よしっ、と

太一くんは姿勢を戻し
また問題集に取りかかった。



そうだ―…


俺は太一くんの前にある
卓上カレンダーを見た。


ここにきて
もうすぐ2週間。


大阪にいられるのも
1ヶ月を切ったんだ…


そうだった。


俺は帰らなきゃ
いけなかったんだ。





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