彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
反対のホームに
電車が入ってきた。


行き交う人々。



それが去るのを待ってから


俺はゆっくり

小春ちゃんに顔を近付けた。



『…キスしたら余計に帰りたくなくなんだけど。』


鼻の先が
ふれ合う距離で話す。


『ほな…泊まる?』


小春ちゃんが
真っ赤になりながら
目をパチパチさせた。


『ぷ…ばーか。』


一旦離れて頭を叩いた。


『っ!!』


小春ちゃんは
真っ赤になって頭を抑える。


『てかっふっ…普通にしてぇー
心臓もたへんっ!』


バタバタする小春ちゃん。


『……』


…普通ってなんだよ。

小春ちゃんは今まで
どんな風にしてたんだ?




俺は壁に手をついて
小春ちゃんにまた近付いた。


『…どんな風にして欲しいの?』


見つめる俺の声に

誘ったくせに
テンパる小春ちゃん。


『やや…やさ…優しく…
してくだしゃい…』


キスする前から
赤くふにゃふにゃの小春ちゃん。



俺は少し笑ってから

甘い大人のキスをした。



ゆっくりと絡める。


小春ちゃんが
きゅ…と俺の服を掴んだ。


まだまだ…。




マキ君には負けない。



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