彼に恋した夏(方言企画大阪弁編)
駐車場に車を停めて
新幹線の改札に向かう。


人混みの中
改札前で腕時計を見ながら


まだだいぶ時間があるな…


そう思っていると
ふいに視界が暗くなった。


『…だーれだ?』


まだいるはずの無い声に
少し驚く。


『……誰だろ?待ち合わせにはだいぶ早いハズだけど』


俺は目にかぶせられた
小さな手を外してゆっくり振り向く。


そこには俺を笑顔で見上げる
小春ちゃんがいた。


『早いじゃん』


俺が微笑むと
なぜか目が潤み出す
小春ちゃん


『直樹きゅーん…』


ぽすっ

そのまま俺の胸に飛び込んできた。



『ふぁーん…逢いたくて待ちきられへんくて早い新幹線乗ってきちゃったぁ』



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