発明王ショート
「え、この指輪?」


 成瀬が指輪をよく見せようと、田井のもとに指輪を差し出す。


「そうそう、これだ。探してたんだけど、見つからなくってさー」


「……なんであなたがこんなもの持ってるの?」


 成瀬が無意識に指輪を隠そうとしたところを、田井が強引に奪い取った。


「別にいいだろ、持ってたって。人からもらったんだよ。じゃあな、ショート。草むしり頑張れよ!」


田井は指輪をポケットにしまって、走り去っていった。

成瀬はその背中を見ながら、目を細めた。


「あの人、なんか怪しい」


「うん、ぼくもそう思う」


「……ねえ、眞森君。最近、この辺で空き巣の被害が急増してるの知ってる?」


「いや、まったく知らない」


「ニュースくらい観なさいよ」


 成瀬はゆっくりと、どう言うべきなのか、考えながら話す。


「最近被害にあったところはね、全部、宝石だけが、盗まれてるらしいの。同一犯じゃないかって言われてる」


「……田井が犯人じゃないかって言いたいわけ?」


「うーん、そういうわけじゃないんだけど。中学生が一人でそんなことできるとは思えないし。でも……」


「グループの中のひとりならば、絶対にありえなくはないって?」


「……違うとは思うけど」


「そうだね、ダイヤの指輪を落としたってだけで犯人にするのは、あまりにもひどいと思う」
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