[企]*white valentine*


疑うわけじゃないけど、蓮さんに表情だけで聞き返す。


蓮さんは私の表情を笑顔で受け止めて、指差した。


「ほら、書いてるでしょ?Only to youって。あのチョコ、菜月ちゃんに」

「私に……?」

「いつもおいしいコーヒーありがとうってことで」


蓮さんは箱を取りに行くと、水をすくうように差し出した私の手の平に乗せた。

感謝されることは嬉しいし、ましてやOnly to youのyouが私となるとドキドキもする。


……けど……


「あの、これ……ホントにチョコ入ってるんですか?」


賞味期限は大丈夫なんだろうけど……。

箱を持ったまま金色のリボンを解こうか迷っていると蓮さんがクスクスと笑いだした。


「だよね、困るよねぇ、そんなのもらっても!ホントはねぇ、それ中身入ってないの」


そう言って蓮さんはポケットをごそごそと探りだした。


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