僕らの赤い糸は最初から
ⅰ 始まり
L 知らない感情。
遥side
俺は興味が無かった。
というか、分からなかった。
好きという感情、恋や愛という存在。
いくら告白されても、
何も感じなかった。
ただゴメンという俺に、
彼女たちは泣き顔を見せたり、
笑顔で去っていったりと、
色々だったが、それ以上何もなかった。
俺に分かる事、それはただ一つだけ。
『愛するという感情は、
特定の人にしか与えられないものだということ。』
そして、俺にはその感情が無いということ。
その分なのか、俺は勉強も、スポーツも、
とにかく万能だった。
容姿も良かった。
だけど、俺はそんなことより、
『愛する』という感情を体験したかった。
そんな時だった。
初めて人に興味を持った。
俺の持っていないもの、全部持っている奴。
笑うしか能がなくて、
馬鹿で、
だけど泣き虫で、
感情という感情をすべて持っている様な奴。
だけど、いや、
だからか目が離せなくなっていて、
「はぁるぅかぁ―――!!」
ほら、今日もアイツがやってくる。