オフィスの甘い罠
「なっ…………!!」



『話は進めてる』って
言ってた派遣会社の担当の
声が頭をかすめた。



だけどそれも一瞬で
消えて、すぐに溶岩並に
煮えたぎる怒りが体の奥底
から込み上げてくる。



「勝手に何してんのよ!?

本人ムシしてヘッドハン
ティングとか異動って、
どーゆーことっ!?」



そんなバカな話聞いたことない。



しかもあたしが柊弥の秘書!?


冗談じゃないわよ!!



「すぐに派遣会社に電話
して取り消して!

あたしは普通に契約終了。
それだけよ!!」



大声でまくしたてると
柊弥は困ったように苦笑
しながら、



「それはできない。

こっちはもう、派遣会社に
慰謝料送金しちまったからな」



「い、慰謝料!?」
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