オフィスの甘い罠
『実はあたしと副社長は
寝た事があって、あたしに
執着してる副社長が勝手に
やったんです』

とでも言えっての? 

あたしの口から?




「―――卑怯者………!!」



柊弥は全部わかってる。


あたしが何を嫌がって、
何を避けたがるか。



くだらない騒ぎに巻き
込まれたり、そのせいで
注目されたり、どうでも
いい連中と関わるハメに
なったり。



あたしがそういうのを一番
嫌がるってわかってて、
こんな手を――。



睨みつけるあたしの視線を
正面から受けて、柊弥は
ニヒルに笑った。



「このご時世、ちょっと
くらい卑怯じゃなきゃ
自分の欲しいモノは手に
入らねーんだよ」



「どこがちょっとよ!?

アンタなんて史上最低の
卑怯者よっ」
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