オフィスの甘い罠
片方の唇の端だけをあげて
笑う――あの、すべてを
楽しむかのような不敵な笑み。




あぁ、今夜はもうダメだなって。



その笑みを見た瞬間、
頭のどこかで気づいてた。



きっと今夜は――あたしは
もう、柊弥から逃げられない。




流される?



飲み込まれる?



言葉なんてどっちでもいい
けど――とにかくきっと、
あたしはもう柊弥の世界に
引きずり込まれてるんだろう。



車窓の外を流れるまばゆい
ネオンを見つめながら、
あたしはボンヤリとそんな
ことを思ってた――…。





     ☆☆☆☆☆



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