オフィスの甘い罠
ハッと我に返って声の方を
向くと、金城さんがあたし
を見てまだ笑ってる。



「おいおい、そんな紫苑の
顔は初めて見るぞ。

どうした? 柊弥クンの
あまりの男前ぶりに驚いたか?」



「あ――…!」



ヤバい。

あたしときたら、接客も
忘れて……



「ごめんなさい。

金城さんがお連れになる
には、ずいぶんお若い方
だったから……」



とっさにあんまいい
言い訳もできなくて、
あたしは内心舌打ちしたい
気分だ。



だけど金城さんは普段の
《紫苑》らしからぬ態度が
楽しいみたいで、ご機嫌な
様子で、



「ハハッ、そうだろうなぁ。

柊弥クンはどこに行っても
モテモテだからな」
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