オフィスの甘い罠
金城さんの知り合いって
ことで一応連絡先は交換
して、メモリにも入れといた。



でも、そもそも柊弥は呼び
つけられたから来ただけ。
もう来ることも、もちろん
電話がかかってくることも
ないと思ってたのに……。



「なんで……わざわざ……」



留守電にメッセージは
入ってない。



あたしは仕方なく、ランチ
してた店から会社に戻る
道で電話をかけ返した。


着信があった以上コール
バックするのはルールだから。



……何度かコール音が
続いた後、応答する声が
耳に飛び込んでくる。



『はい、もしもし』



間違いない。



体に心地よく響く低い声
――柊弥の声だ。




「高城さん?

Aphroditeの紫苑です。

おわかり頂けるかしら?」
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