オフィスの甘い罠
『わかるよ。
こっちからかけたんだからな』
電話口からは何を今さらと
言わんばかりの声が返ってくる。
あたしは冷静な声を保つ
よう意識しながら、
「ご無沙汰してます。
お電話出られなくてごめん
なさいね。
どんなご用件でしたかしら?」
すると柊弥はサラッとした
口調で、
『あぁ。
今晩行こうかと思ってな。
お前を指名するから
待ってるように伝える
つもりだったんだ』
(えっ!?)
口をついて出かけた声を、
あたしはかろうじて飲み
込んで胸の中だけにとどめる。
(今晩!?
指名って、あたし今日行く
予定なんかないし……!)
金城さんからあたしが常勤
じゃないって聞いてないのかな。
こっちからかけたんだからな』
電話口からは何を今さらと
言わんばかりの声が返ってくる。
あたしは冷静な声を保つ
よう意識しながら、
「ご無沙汰してます。
お電話出られなくてごめん
なさいね。
どんなご用件でしたかしら?」
すると柊弥はサラッとした
口調で、
『あぁ。
今晩行こうかと思ってな。
お前を指名するから
待ってるように伝える
つもりだったんだ』
(えっ!?)
口をついて出かけた声を、
あたしはかろうじて飲み
込んで胸の中だけにとどめる。
(今晩!?
指名って、あたし今日行く
予定なんかないし……!)
金城さんからあたしが常勤
じゃないって聞いてないのかな。