オフィスの甘い罠
あたしは改めて《紫苑》を
演じ切る気合いを入れて、
柊弥が困るくらいの勢いで
散財させてやろうと思った。



ところが、ここでもまた
あたしの思惑は裏切られる。



なんでって――あたしが
誘導するよりも先に、
柊弥が自分からどんどん
高いお酒ばっかをオーダー
してくから。



中ランクのボトルから
始まり、最後の方はそう
めったに出ないかなり
高級な物まで。



ためらいもなくオーダー
してく姿は、こっちが
面食らうほどで……。



(ちょ……ナンなのコイツ。

マジでこんなん払える
わけ……!?)



さすがに本人に面と
向かってそんなことは
聞けないけど、あたしは
完全に疑ってた。



だって親が会社経営してる
ったって、柊弥自身は
こないだまでアメリカで
お勉強してただけじゃないの?
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