オフィスの甘い罠
全部がまだこんなにも
鮮明で、頭を離れなくて。



……こんなことは初めてだ。



今まで、本気で好きな恋人
なんて作ったことない。



だから当然、本気の
セックスだってしたことない。



それなりに楽しめそう
だって見初めた男と寝る
のは、ある意味《紫苑》に
なるのと一緒。



つまりあたしにとっては、
単なる気分転換のためのゲーム。



だから《紫苑》の顔を持つ
ようになってからは、その
延長線でしか男と寝る
こともなかったし……。



(梓としてしちゃった
から……?)



壊れた人形のように、
夢中でアイツを求めたのは。



そして今でもその記憶が
脳裏を離れず、心が落ち
着かないのは。
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