オフィスの甘い罠
サイドに流した髪をクル
クルもてあそびながら、
あたしは余裕の態度で待ってた。



同僚が先に指名された
からって、別に焦ることは
何もない。



だってあたしも、この後
入る指名を待ってるだけだし。



昼間店に電話したあと何人
かに声かけて、キッチリ
約束を取りつけた。



もうすぐあたしに会いに
来るのは、某貿易会社の社長だ。


教授の大山サンなんて
相手にもならない大金持ち。



「まいったなー。

あのコ達とは同クラスかと
思ってたけど、また追い
抜いちゃうみたい……?」



クスクス笑いながら
待ってると、さっきとは
別のボーイが小走りに
やって来て言った。
< 9 / 288 >

この作品をシェア

pagetop