オフィスの甘い罠
「離し―――…!」



セリフは最後まで言えない。



あたしの体は抵抗する間も
なく、強い力で柊弥に
引き寄せられる。



グッと体が近づいた拍子に
反対の手でメガネを奪われた。



そして次の瞬間、唇に
かかる熱い吐息――…。



(―――――!!)



キスされたんだって気づく
にはしばらく時間がかかった。



でも気づいた時には、もう
そのキスは止めようがない
くらい深くなってて。



体がジンジンするような
感じに頭をクラクラさせ
ながら……あたしはただ、
翻弄されるだけ――…。



やがて長いキスを離して、
柊弥は……。



「度が入ってないな、
このメガネ。

やっぱ作ってんのは昼間の方か」



あたしのメガネを顔の前に
かざして、そんなことを言う。
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