大好きな君にエールを*番外編
何度か息を調えて歩き出したシゲ。その先には、今日がキャッチャー初デビュー戦の、麻帆ちゃんの彼氏である康也くんがいた。
観葉植物の隣で瞳を閉じて、眉間にしわを寄せている。そこへ、シゲが歩み寄る。あたしは少し離れていた。
「荒嶋!……おーい!あーらーしーま!」
何度か呼んだ後、康也くんは目を丸くしてシゲを見た。シゲの奴、ココに来ること言ってなかったんだね?
「どうしてココに!?」
康也くんの驚く声と、医者から許可もらえて~と嬉しそうに話すシゲ。
そして、シゲは『キャッチャーお疲れ』と康也くんの頭を撫でていた。
初めてのキャッチャーが甲子園だった彼。きっとすごく緊張して、すごく怖かったんだろう。
シゲの言葉を聞くと、安心したかのようにシゲの胸で泣き崩れた康也くん。
ごめん、と繰り返して康也くんの肩を叩き、自分も涙を隠せずに流し続けるシゲ。