彼の視線の先、彼女。
「もう離さないから、どこにも行くな」
苦しい気持ちはどこかへ消えた。
好きの気持ちがそんな想いを上回った。
「だから、言葉ちょーだい」
言わなきゃいけないことは言った。
もう怖くない、胸を張っていえる。
「壱稀・・・っ」
「ん?」
あふれる想いが、涙が。
もう止まらなくて。
カッコつけた言葉も、飾った態度も。
考えていた告白の内容も全部消えたのに。
それでも、
ただひとつだけ消えなかったのは、
「好き、です」
たった一言の一生分の私の想い。