彼の視線の先、彼女。
「俺も、一緒だよ」
壱稀も瀬璃も爽香ちゃんも一緒。
傍にいられれば幸せ、見えるものは何も無いのに。
「そうですか」
そう何も。
未来も無い、期待も希望も無い。
どうしようもない想いなのに。
それを諦めきれないまま、貫きつづける。
きっと諦めてしまった方が楽だ。
何も知らないままの方が楽だ。
けれどそれでも追いかけてしまうのは、
諦めるきっかけを失ってしまったから。
そうやって本当の気持ちを隠してないと、
今すぐにでも泣き出してしまいそうだった。
見上げた空は、雲ひとつ無い
穢れの無い青だった。