彼の視線の先、彼女。
「えと・・・っ、ちっ、千尋?」
「何?分かってくれた?」
苦しい。
にこやかに笑うけれど、その奥の瞳は真剣だ。
痛々しいくらいに綺麗な瞳に吸い込まれそうで、
今になって知る千尋の気持ち。
「瀬璃は鈍感だからね」
もしその言葉全てが本当だとしたなら、私は・・・。
千尋を無意識のうちに傷つけていた。
痛い、ズキズキする。
自分の情けなさが身にしみる。
自分ばかりで、千尋の気持ち見えてなくて。
泣き叫びたくなるくらい、千尋の顔は辛そうで。
こんな千尋を見たことは今まできっと無かったと思う。