彼の視線の先、彼女。
「あいつ・・・先輩殴ったらしいんだよ」
「は?」
体が石のように硬直する。
千尋が・・・先輩を殴った?
そんな訳無いよ、だって千尋は喧嘩大嫌いで。
「その先輩がやばい奴等とつるんでたらしくて、仲間が仕返しするっつー噂・・・」
ドクンドクンと脈打つ。
息が苦しい、鼓動が早い。
「千尋は・・・」
千尋はむやみに人を殴ったりしない。
千尋はそんな風に人を傷つけたりしない。
そんなの傍にいた私が一番分かってる。
なのにどうして、何もしてあげる事が出来ないんだろう。