コスモス

「お願い」


…意を決した様に、先生が口を開く。


「…減らした薬はね、もう…効果が無くなった薬なんだ」

明日可の眉間にしわが寄る。

「減らした薬だけじゃない。徐々に…他の薬の効果も薄れている」

視線を落とした明日可が、消えそうな声で呟いた。

「…もう…、効く薬がないって事…?」

無言の返事を返す斎藤先生。

…薬の効果が無くなる。
それが、意味すること。


「…いよいよ、なんだね」


効果的な治療法が無くなるということは、つまり…その時が、近付くということで。


黙ってしまった明日可に、斎藤先生は声をかけた。

「希望が無くなったわけじゃないよ。明日可ちゃんには、移植という道も残されている。病気の進行を遅くすることができる薬もある」

下を向いたままの明日可の手を握りしめ、先生は続けた。

「諦めちゃだめだ。ドナーだってきっと見つかる。だから…僕と一緒に戦い抜こう。明日可ちゃんなら…きっと大丈夫だから」


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