コスモス
僕はカズの肩に飛びついた。
腕を回してニヤリと笑う。
「一緒の大学がいいって言えよな~。全く、カズは俺が大好きなんだからさ」
一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに涼しい顔ではっと笑った。
「その前に成績どうにかしろよな。俺とお前とじゃ差がありすぎてありすぎて…」
「うるせーな、わかってるよ!」
いつものやりとり。
いつもの僕たち。
「タケんち行くか!誠二もいるだろうし」
「あいつら2人じゃ受験勉強はかどらねぇだろうしな」
顔を見合わせた僕たちは、ひひっと笑い駆け出した。
廊下に僕たちの足音が響く。
夕日が僕たちの背中をおす。
…大事な奴らと一緒に、僕は未来を見つめてるんだ。
いつか立つ、未来を。
…「…明日可ちゃんに、そのことは…」
「いえ…。でも、勘のいい子ですから…」
「…そうですね」
病院の庭は、小児科の子どもたちの笑い声が響いていた。
子どもたちを見つめながら、斎藤先生は明日可の母親に言う。
「…私も、そのほうがいいと思います」