コスモス
「…アメリカに、行かないかって言われた」
…アメリカ?
「お母さんの親戚が、アメリカに住んでるの。その人のつてで、向こうでの治療が受けれるから…って」
何も言えない僕に戸惑いながらも、明日可は続けた。
「向こうの方が、医療も進歩してるし…ドナーを待つ環境も、整ってる。それに…」
一瞬口の動きが止まったが、再びゆっくりと話し始める。
「それに…、いざという時の延命治療も、向こうの方が進んでるからって、斉藤先生が…」
明日可の手に力が入る。
僕は思わずその手を握る。
…明日可の声が、微かに滲んだ。
「ねぇシュウ。あたし、どうしたらいい?向こうに行ったからって、絶対に生きれる可能性なんてないんだよ?あたし…あたしは、シュウといたいよ…。もし、もし向こうで…」
「もういいから…っ」
僕は明日可を抱きしめる。
明日可が言いたいことは、わかっていた。
…でも僕は、何も言えなかった。