コスモス



「アスカって、彼女?」




固まる僕。

少しずつ、頭の裏が白くなっていった。




…久しぶりに、明日可の名前を聞いた気がした。





「…なんで…」
「昨日、ずっと呟いてたから。『アスカ』ってずっと」

俯いた僕を一瞥して、彼女は立ち上がった。
散らばった空き缶を拾いながら呟く。


「ワケアリってやつ?」


部屋に空き缶の擦れ合う音が響く。
その音が、妙に僕の頭をクリアにさせた。


「…彼女なのかどうかも、もうわからないけど」


空き缶の音がやんだ。
彼女の視線を感じる。

しばらくたって、また空き缶の音が響き渡った。

ビニール袋の口を締め、部屋の隅に投げ捨てる。


「…ふぅん」



…2人は黙ったままだった。

沈黙が、辛くはなかった。



日差しの持つ凶器が、少しずつ緩くなるのを感じていた。




























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