コスモス
……………
学校に行く足取りは、重かった。
ダメもとで送った昨日のメールにも、明日可の返事はなかった。
不安は募る。
僕は学校に着いたその足で、明日可の教室へと向かった。
…教室を覗く。
いつもの窓際に、明日可の姿はなかった。
「…まだ来てないのか」
「須川君?」
いきなり後ろから声をかけられ、びっくりして勢いよく振り向く。
僕の目線よりかなり下からの声。
「…ミキ」
そこには、僕を見上げるミキの姿があった。
「どうしたの?」
「いや、明日可…」
僕は口ごもった。
明日可と連絡がつかないことを、ミキに言うべきだろうか。
「明日可、今日休みだよ」
「え?」
休み?
「風邪ひいちゃったみたい。連絡来てない?」
「や…」
僕の言葉を遮るように、廊下にチャイムが鳴り響いた。
「あ、じゃあね」
ミキが教室に入った。
「ああ…」
僕も仕方なく教室に向かう。
風邪だから、連絡つかなかったのか?
…何だか腑に落ちないままだった。
……一度教室に入ったミキは、もう一度教室から出てきた。
廊下を行く修平の背中を見る。
胸の中で、明日可の言葉を反芻した。
『シュウには、言わないで』