コスモス

「…頼りねぇけど、明日可の辛さなんか、全然わかってやれねぇかもだけど…。でも、半分くらいは俺に分けてくれよ。お前の不安でも矛盾でも何でもいいから、受け止められる様に強くなるから、だから…」

明日可の顔が、暗闇の中で歪むのが見えた。
大粒の涙が、夜の月に光る。

僕は、唇をギュッと噛んで、耐えた。

震える声で、明日可が呟く。


「…あたし、できない事、沢山あるよ…?」
「…うん」
「普通の…デ、デートみたいに、遊園地とかで…騒いだりとか、プール行って、泳いだりとかも…」
「…そんなの、いいよ」
「…デート中でも、薬飲んだりとか、学校だって、あ、あんま行けないかもだし…」

「…俺が毎日会いに行く」

しゃくりあげながら、明日可は一生懸命言葉を繋いだ。


「…あたしを…あたしを抱くことも、できないんだよ…?」


< 96 / 449 >

この作品をシェア

pagetop