終ワラナイモノ①

最悪の誕生日

―――――

『やっぱりやめようよ。
見つかったら怒られるよ?』

「だったら、ついて来なければいい話だろ?」

拓海がサラリと言った。

『今から戻れって言うの?
絶対ムリ!!出たらどうするのよ?
拓海だって怖いでしょ?』

「質問多いんだよお前。
それに、せっかくここまで来たんだから文句言うな」
またしてもサラリと言った。

『………。』

「安心しろ。もし見つかったときは俺がお前を連れまわしてたって言ってやるから」

『それはダメだよ。
あたしだって一度は承諾したんだし』

「ふうん。じゃあついて来るんだな?」
拓海がニヤリとして言った。

『…そういうことになってしまいますね…』

「ならもうグチグチ言うなよ?」

『……うん』

あたしは拓海の服の裾を掴みながら歩く。



あたしと拓海がいつも通っている小学校の校舎は、普段は騒がしくて耳を塞ぎたいくらいなのに今は夜、しかも春休み中であるがためにガランとしていて気味が悪い。

そう、あたしと拓海は夜の小学校に忍び込んでいるのだ。


私立であるこの小学校は問題を起こせば公立の小学校に即転校させられてしまう。
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