砂糖菓子
練習が始まる。 

先輩の姿にいちいち、 
ときめいていた。 

片想いしている女の子の気分だった。 


でも誰かが足りない。 


周りを見ると、

フェンス越しに、氷野クンがいた。 


グランドを見る目はきれいな目をいっそう深くした真剣な眼差し。 


なんでサッカーやらないの? 

そんな疑問が頭をよぎった。 


帰りそうな氷野クンを追い掛けた。 


「氷野クン!」


怠そうに振り向く氷野クン。 


「サッカー部入らないの?」


「・・・」


「サッカーやらないの?」

「・・・」

 
「氷野クン?」


「うるさい。」


「でも、さっき・・・」


「お前には関係ないだろ。」


じゃなんでそんな顔するの? 

あの時の切ない、悲しい顔。 


氷野クンが分からない。 


なんで紗弥もあいつのために必死なの? 


分からない  



分からないよ・・・



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