偽物かっぷる
新学期

3学期が始まった。

冬休みには1度だけ仁哉くんに会ったんだけど
なんだかんだで久しぶりだ。

昨日から学校に行くのが楽しみだったんだ。

久しぶりに好きな人に会えるっていうのは
すごく嬉しくて幸せなことだもん。

ほら
来た来た。

わたしの好きな仁哉くんが。

「……………。」

あれ?
なんでいつもみたいに
“菜恋、おはよう”
って言ってくれないの?

なにかがおかしい。

でも
今日は交換ノートをもらわないとダメだし。

自分からいくとするか。

「仁哉くん、おはよう。カバン持ってきてっ。」

交換ノートって言っちゃうと皆にバレちゃうから
いつもカバンって言うんだ。

でも
「はい。」
ってカバンをわたしのもとに置いた仁哉くんはいつもと違っていた。

なんで
わたしへ笑顔をむけてくれないの?

その時
大きな音をたてて
わたしに不安がのしかかった。

その日わたしが仁哉くんに言ったのは
「仁哉くん、おはよう。カバン持ってきてっ。」
「バイバイ。」
だけだったんだ。

2学期とあきらかに違う。

怖くなった。

明日からは喋れるのかな?

無理かもしれない。

わたしは新学期から
不安を抱き始めた。

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